生涯学習・プラスワンステージ

第22期「生涯学習・古代への道(102)」③~平成30年7月18日(水)

「古代への道(102)」③アイヌ語はない 4 ヒシ=牛

 

アイヌ語と日本語を毎日見比べていると、語が創成される過程が分かるものに出会うことがある。なるほど、先人たちは、こんな見方をして語を創成したのかと感心することが度々である。先日、発見した他愛もないが面白い語の創成を紹介する。

 

マタギ言葉を見ていると面白いものがいくつも出て来る。その中に「コマガリ」がある。「コマガリ」とは、「キセル」(煙管)である。キセルを、なぜ、「コマガリ」というのか。ここが面白い。「キセル」の先端(タバコを充填する所)が少しばかり曲がっている特徴をとらえて語にしている。「キセル」は、煙管と漢字表記する。「煙の管」は実態を正確に表しており、なんとも巧みな表記である。しかし、この巧みな表記が日本語の創成を隠す悪者なのである。「キセル」の語源は何ですかと『広辞苑』に聞いてみる。すると、「管を意味するカンボジア語khsierからである」と説く。それだけではウソがばれるので、「タバコを吸う意のポルトガル語que sorverからである」とも説く。今度は、マレー語ではなく、カンボジア語である。一番悪いのは、正しいかどうかわからないのをさも知ったゲに書くことである。日本語の語源がカンボジア語、あるいは、ポルトガル語ならば、それは外来語と言う。

 

では、「キセル」を逐語解読する。左記のとおりである。

は、「気」(煙)である。

は、「吐く」である。「セク」(咳く)・「ようようセ」・「ウォーセカムイ」の「セ」である。

は、「動詞化音」である。

 

「キセル」は、「煙を吸う管」と思っていたが、古人は、吸った煙を吐くことに着目して「キセル」と命名したのである。「キセル」とは「煙草の煙を吐き出す」ことである。