平成23年12月14日(No5473)  有り難うの往復

有り難うの往復

フタバ図書・ギガ高陽店に立ち寄った。新発売の文芸春秋を求め、カウンターの行列に並んだ。土曜日のひるどきだからそこそこのお客が入っている。中古本の買い入れと併用だから、すぐ精算が滞る。慣れているから腹は立たないが、客と店員のやりとりを聞いていると退屈しない。申し合わせたように店員は必要なことをキチンと喋るが、客の大半は無言だ。

 

高校生らしい男の子がまんが本をどっさり持ってきた。いずれも中古本で超特価だ。代金は20冊で1400円。父親がそばに立っている。男の子が本をカウンターに置いた。店員がレジを通して手提げ袋に入れる。代金を支払う。レシートとチラシを入れて渡す。受け取る。重いだろう。待っていた父親が袋を横取りし出口に向かう。息子は手ぶらで付いて行く。

 

店員はマニュアル通りに笑顔で必要な言葉を掛ける。距離をおいて出口に向かったが、この間、どちらも一言も発しない。パフォーマンスもない。店員に聞いた。「あのタイプのお客が増えている?」、控えめに「そうです。でも声を掛けて貰うと嬉しい」。ありふれたシーンだが言葉があれば、お互いに心が和むに違いない。当たり前の所作が仕事を楽しくさせる。

 

「お待たせしました。いらっしゃいませ」。本をカウンターに置く。「お願いします」。代金を払う。「有り難うございます」、「有り難う」。お釣りを受け取る、「有り難う」。ポイントカードを受け取る、「有り難う」。本を受け取る、「有り難う」。「有り難うございました。またお越しくださいませ」、「有り難う」。たった一冊の本を求めるのに6回も「有り難う」が往復する。

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