<出会い>に学ぶ生き方の極意

巻頭言

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まえがき

平成14年12月10日、定期健康診断を安佐市民病院で受けた。これまでいくらか注意を受ける場面があったものの、大過なくパスしてきた。

ところが、この時期はいつもと様子が違った。各項目の検査が流れるように進み、レントゲン室でバリュームを飲んだとき、担当医から「もう一度」と声が掛った。

翌日、病院から携帯に電話が入り、精密検査を受けるようにと指示。

検診の結果、胃がんと診断され、目の前が真っ暗になった。即刻、入院し、手術を受けるように告げられた。

当初は胃の3分の2切除で済むはずだったが年末年始の約束事を果たしているうちに、50日遅れの入院。再検査の結果、全摘出手術を必要とするまでに進行していた。悔やんでも始まらない。平成15年1月30日、手術を受けた。

がんのレベルは「ステージ3-

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巻頭言 ― 鍵山秀三郎

生涯を通じて出逢う人の数は、計り知れないものですが、その中にあってその人の心に思いを馳せ、お互いに心を通わせることのできる人は、僅かな人に限られます。

出逢った人同士、お互いを心に宿らせられる人は有限であるものです。それは世の中に価値ある人が少ないこともありますが、受け手である当人の感受性が乏しいことも大きな原因です。

相手が如何に偉大であっても、それを感じ取る感性に欠けていては、只の人としか見ることができません。受け手の感性が豊かであれば、平凡な人からさえ美点を見出すことさえできます。

木原伸雄さんは、平凡な中から非凡を見出し、美点として高めていく名人です。人は普段、他人の評価をする際に、身形や風貌などで決め付けることが多いのですが、木原さんは世間の評価基準に惑わされず、一瞬にしてその人物を見抜く鑑識眼を備えておられます。それは眼ではなくて、備わっている識見によるものでしょう。

ビジネス界に、24回も連載された「出会いに学ぶ生き方の極意」は、木原さんによって発掘され、未知の人びとに紹介された記録です。

1冊の本を読む時にも、その場の状況や登場する人たちに思いを馳せ心に描いていくと、その本が生き生きとしてきて著者の捜索意図が完成されます。ただ、目で活字を追っているだけでは、著作も育たないのです。それと同じように1人ひとりの人物に注がれる木原さんの眼は、その人の心に潜む想いにまで至り美点が表に表されるのでしょう。その人が生き生きとして、成長への道を歩み続けると確信します。

表題は「出会いに学ぶ生き方の極意」となっていますが、登場した人たちこそ、木原さんから『生き方』を学ばせていただいたと思います。

 

A」で、5年後生存率が36%と主治医のご託宣。胃と膵臓のすべてと、リンパ管の一部を切除。妻は「大丈夫、必ず完治する」と励ましてくれたが、内心では諦めていた。だが、生き続けたいと強く願ってもいた。

入院中に発刊した「世相・藪睨み」(A5晩56ページ)に続き、月刊経済誌『ビジネス界』主幹・弥山政之さんのご好意で「六十五歳からの挑戦・親子農業体験塾≪竹の子学園≫物語」を1年間連載、さらに「出会いに学ぶ生き方の極意」を2年間連載した。

平成20年1月30日、最終検査に合格し、生還を確認できた。定期健診で「異常なし」と告げられると安堵し、同時に翌日から癌細胞の転移と死への恐怖が襲う。その繰り返しの5年間は長かった。

やや大げさだか、生還記念として「出会いに学ぶ生き方の極意」の発刊を弥山氏に懇請したところ、快く引き受けてくださった。

本書の発刊にあたり、わが生涯の師と仰ぐ鍵山秀三郎師から、心温まる「巻頭言」をプレゼントいただいた。

印刷・製本は友人の脇坂信三氏(ユアープランニング社長)が担当し、不慣れな私の編集・校正をサポートしてもらった。

本書は平成17年8月号から同19年10月号までの連載記事をベースに、加筆・補筆してまとめた。付録として、中田宏・横浜市長との対談(『ビジネス界』平成19年11月号掲載)を、お許しを得て加えた。

他にも多くの方々にお世話になった。ご厚意やお力添えに対して、心から感謝の意を捧げたい。