ちょっととーく

世のため 人のために 己の時間を使う 2007.6

365日をどう過ごす

わが国は世界一の長寿国であるが、平均寿命の伸びもさることながら、平均余命は急速にのびている。

 65歳の平均余命は18年だから、定年退職後は23年も生きなければならない。己のためだけに生きるとすれば、時間の使い方に戸惑う人が多い。

 高校時代の同級生は愚痴をこぼす。お互いに古希を迎えたが、特に身体の故障はなく健康な日々だ。彼は積極的な社会参加型タイプ。リーダーシップもあり、地域社会に欠かせない存在だ。

 活動範囲は、同年輩に比べて広い。高齢者へのケアサービス。子供たちへの自然体験・農業体験のサポート。老人会のお世話、伝統芸能の保存活動などなど…。
 だが、フル回転しても60日しか埋まらない。残りの300日をどう過ごせばよいのか―途方にくれている。

健常高齢者の活躍舞台

とかくの批判はあるものの、わが国の行政は弱者に手厚い。林立するデラックスな特養老人ホームなど見ると、なぜか違和感を覚える別世界の感がある。

 一方健常高齢者に対する行政の措置は、きわめて冷淡に思えるがいかがだろうか。助成金まがいの経済的支援は不要だろうが、生きがいある舞台作りは、弱者の救済と同様に、行政の大きなテーマと思われる。

 日本の高齢者は他国に比べれば、衣食住とも恵まれている。十分とは言えないまでもつつましく暮らせば生活にさほど困難はない。

 高齢者の大半は<金持ち><知恵持ち><時間持ち>といえよう。せっかくの宝物を使わず、朽ちさせるのはもったいない。願わくば世のため人のために生かしてほしいものだ。

 高齢者たちが運営している親子農業体験塾『竹の子学園』が、新しい子育ての舞台として、マスコミなどから注目されている。

 創設から5年目になるが、過疎の農村を活性化する起爆剤になろうとしている。

 世話人は7組の夫婦だが、平均年齢は70歳を超える。世話役のリーダーは竹下員之さん(77歳)で、現役時代は農協職員…。

 役割は750坪の農園管理と、子供たちの自然体験・農業体験指導である。

損得を越えた世界

 運営システムは異色で現実離れしている。まず、労力提供はすべて無償。しかも、行政の経済的支援は受けない。必要最小限の費用は、参加する親子が負担して塾は成り立っている。

 個人差はあるが、多い人で年間60日分も労力を提供しているという。 

 彼らの受け取る報酬は金銭でなく、生きがいで、過疎活性化の使命感が支える。己の時間と身体を使って、見返りを求めず役に立ちたい― その行いは神々しい。

 舞台があれば高齢者は蘇り、持てる能力をフルに発揮、素敵な生き方ができると思うが如何だろうか。

Plus One Message

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