「好老社会」を作る

「好老社会」を創る⑨~二度の人生とは言わない~

四万四千四百五十六人

「六十、七十は洟垂れ小僧、男盛りは百から、百から」とは、百七歳まで創作を続けた彫刻家・平櫛田中(ひらくしでんちゅう)さんの名言です。この言葉に元気をもらった人も多いでしょう。「七十歳、おらが村では、青年団」という川柳にも励まされます。今年の「敬老の日」に百歳以上の高齢者が、四万七千七百五十六人になりました。そのうちの九割が女性ですから、平櫛先生の名言の中から「男盛り」を「女盛り」に変える必要があります。

百歳以上が一万人の大台に乗ったのは一九九八年のこと。わずか十三年でここまで伸び、来年は五万人の大台に乗ります。四十年後の二〇五〇年には、なんと七十二万人になるというから驚き。しかも人口が九千万人を割り込むから、割合は八パーセント。十二人に一人が百歳以上の計算になり、女性のウェイトは更に増えます。男性八万人、女性六十四万人では、もはや勝負になりません。

自動車から自転車へ

最近の熟年世代の中では自転車がブームになりつつあります。マイカー時代に圧倒されて小さくなっていましたが、マイカーからバイクへ、そして自転車の時代に移行しつつあります。定年退職で仕事から解放された世代は、これから三十年~四十年の残り人生をどのように過ごすか、これからの大きなテーマです。四十年働き続けて定年を迎えても、更に同じくらい生きなければならないのですから「余生」とか「第二の人生」などとのんびりしてはいられないのです。「新しい人生が始まる」と覚悟し、真剣に取り組まなければならないのです。

自転車の話は定年退職後の過ごし方に大きな関わりがあります。ベタルを踏んでいける距離の範囲で時間を過ごすことが多くなるからです。もはや高齢者にとっては、自分の足と自転車以外は無用の長物になるのです。行き先の一位は公園、二位が図書館、三位が繁華街だからです。

ちょっぴり人のために

人気の公園はアスレチックや健康遊具が完備したところはありませんが、子どものための公園は高齢者のために姿を変える時代なのです。公園は出入りが自由、二十四時間開放、しかも無料です。新しい出会いも得られます。失われつつある地域の絆も蘇る可能性があります。繁華街が上位にランクされるのは買い物を楽しむのではありません。年金暮らしで小遣いは乏しい、もともとお洒落で教養もある。無料で入れる百貨店の催し物や画廊を覗いたり、ウインドショッピングを楽しむのです。それには自転車が最適です。駐車料もいりません。

でもそれだけでは、ちょっぴり寂しいですね。せっかくの時間が、余り過ぎます。それを人のために使っては如何でしょうか。生き方をちょっと変えるだけで日々が充実し、毎日が明るく楽しくなります。人のために生きると決めれば、老後の人生はバラ色ですよ。