第17期人生講座「日本に詳しくなろう」①-A・B~平成27年8月11日(火)~
「日本に詳しくなろう」①-A
本日のナビゲーターは宮川洋太郎さん。ジャパニストからは神谷真理子さんの詩「ろうそくの一生」を課題に取り上げた。ところがいつの間にか今東光や瀬戸内寂聴の生き方に入り、最澄の「1灯照偶 萬灯照国」の精神の解説になり、史記の司馬遷に及んだ。神谷さんの詩はどこかへ飛んでしまった。美人の神谷さんには面識があり、詩の解説に期待していた。
さらに「私たちが「国・公」向き合い、考えてみること」に資料は進み、さらにさらに司馬遼太郎の「この国のかたち」、佐伯啓思の「市民とは誰か」と問い掛けられ、14ページに及ぶテキストを示された。①為政者は手の内を明かさない。②ロシアへの恐怖(この辺りは日清戦争)。③蒙古草原のファナティシズム。④軍事的教養のない日本の知識人と続いた。
続いて佐伯啓思著「市民とは誰か」。①21世紀は市民の時代、②市民の違和感,③感情に訴えかける官僚批判、④社会主義と共産主義の混同、⑤そのために死に得る『国家』、⑥「国民」であることと「市民」であること、⑦世界でも突出した「嫌戦感」、⑧国家に対する義務を負わない「国民」、⑨「私」か「公」の世界を席巻する日本と難しいおはなし。
よく考えてみると現代の無責任極まる日本国民に対する痛烈な批判のように受け止めた。曖昧なままの適当な日々は許されないということか。生意気言う前にもう少し勉強しろという叱咤激励をしっかり受け止め、早速、司馬遼太郎、佐伯啓思の本を買って読むことから始める。どこに進むのかと心配したが、メンバー全員が宮川さんの思いを受け止めたようだ。まずは本を買うところからスタートする。感謝で一杯。
「日本に詳しくなろう」①-B
■本日の五七五
・おもてなし おまけ付きです 負の遺産 不純斎
・声聞いた 安保法は 聞かなんだ
・アメの傘 肩は濡れます 核の傘
・亡き母と 毎朝挨拶 姿見て 菊子
・陽に灼かれ 弾にも焼かれ 八月六日
・蜩の 青春遠く まどうてくれ 道章
・安保法 反対の理由(わけ) 聞かせてよ
・中国の 軍事力には 目を瞑り
・お休み 実
・お休み 弘子
・夏が逝く 気配伝える 空の色 伸雄
・立秋の 気配も見せず 土燒ける
・灼熱の 原爆の日は 遠くなる。
本日のリーダーは安村耀嗣さん。前回に続いて「書」をテーマに話を進めた。書家・柿下木冠氏の素顔に迫った。柿下氏は山崎大抱氏を師と仰ぎ、書道グループ「抱一会」の理事長。前回紹介した若者グループの顧問格でもある。柿下氏は「漢字は自然を象徴している。作品に表れる作者の生活を鑑賞して欲しい」と話す。難解な理論だが、安村さんは分かりやすく解きほぐしてくれる。相当素養がないと難しい。
現代書鑑賞の心得としてよく教わるのが、「書は『字』ではなく白黒の絵である」「墨の黒と余白の白で表した絵画である」「一字一字が上手でも作品としては魅力がない」。言いえて妙であるとは安村さんの感想。後半は「我が師アラカルト」。それぞれに生涯の師があることは幸せだ。論語に「子曰く、三人行えば必ず我が師有り。その善きものを選び之に従い」の教えに習いたい。本日は厚さ厳しく欠席者も多数。