俳句歳時記

俳句歳時記 6月俳句歳時記 令和2年6月27日

6月俳句歳時記

螢追う君は吾手をすり抜けて        雅幸

 

草炎俳句会  藤兼 雅幸先生の講評 

特選

天 とりどりの四葩に抱かれ百度踏む    美紀恵

様々な色を見せる紫陽花、とりどりの思いを消し一心不乱に百度を踏む。その寺のご本尊の使いのような紫陽花に見守られながらひたすら往復する。どの措辞も無駄なく機能している句だ。

 

地 八十路の歩こんなものかと姫女苑    昌子
 

生命力もありながら可愛い野の花。今日は気分がいい、なんだか足も軽いと、散歩に出かけたがやはり確かめながらの一歩一歩だ、ふとこの花との出会いに元気をもらう。少女時代をも思い出させるような可憐なこの花の斡施が成功している。

 
人 気障なこと云ふなよ其処のサングラス  栄子
 

普通のことを言っても気障に聞こえるサングラス、また気障に見えるのは結局似合ってないんだよ、と作者は言いたげである。誰もが感じていることに改めて気づかされる鋭い句だ。

 
 

入選

水玉の受付嬢や更衣         日出美

受付嬢は大会社なら制服だろうが、私服の会社も多くある。シンプルな表現ゆえみずみずしい笑顔さえ見える句だ。

 

蟻の道大きな石を置いてみる     勝子

道を塞いでも遠回りをしたり真上を通り元の列に合流したり、蟻の大きさにしたら何十倍の石でもなんのその。蟻の習性に特化した引きずり込まれる句になっている。ふと子供に還る。

 

二代目の金髪が焼く初鰹       恒子

今や世界的になった日本料理、人種の隔たりが無くなったとはいえ金髪には驚く。鰹の本漁になるころには坊主になっているかもしれない、そんな可笑しさも読み取れる句だ。

 

部屋中の窓開け放つ辣韮漬      博子

ニンニクほどではないが大量にあればそれなりにきつい匂い。多分泥付きのものからの作業でその家なりのやり方があるのだろう。誰もが共感する。

 

買物のメモルンルンの梅雨晴間    輝子

ルンルン気分の買い物は余計なものを買ってしまいがち、今日はメモ通りにしか買わないぞと…。でも久しぶりの買い物だから買い忘れをしてはいけない大事なメモだ。可愛い句です。

 

めまといを追いたる婆の杖さばき   秀之

最近は元気なおばあちゃんが多い。我々でも始末に苦することも、切り取りがおもしろい句だ。杖の小道具が詩にしている。

 

入選句総評

特別な発見があるでもなくオーソドックスなスタイルでの句作は難しい。

つい言いすぎたり凝った言葉や表現をしてみたりと作る途中で迷宮に迷い込んでしまうことが多々ある。平凡でなく平明に、天の句はそういう意味でも味わえる。

テクニックが邪魔をするのも俳句、肝に命じたい。

掲句以外の予選の句の中にも見られるユニークな発想は自信を持っていい。

だた、矛盾するようだがテクニックも磨きたい。