平成25年9月27日(No6126)   友が逝く

友が逝く

ふるさとから訃報が届いた。50数年も昔になるが、当時は戦後の混乱から日本再生の緒についた時代だった。友は神童ともてはやされ、名門の修道中学に学んだ。年齢の差は7つも開いていたが可愛がってくれた。偉大な先輩であり、友と呼ぶのはおこがましいが対等に付き合ってくれた。疲弊した農村の再生を夢見て語り合ったものだ。そしてよく遊んだ。

 

訃報は朝早くもたらされた。近年は高齢化した友と疎遠になっていたが、身内が覚えていてくれた。昭和5年生まれだからとうに平均寿命は超えていたが、元気で日々を過ごしていたようだ。9月21日、畑の草を刈っていて転落し、つよく頭を打った。打ちどころが悪く救急車で運ばれ、緊急手術をおこなったが帰らぬ人となった。最後は呆気ないものである。

 

昭和30年、農協の不祥事があった。当時は封建的なしきたりが色濃く残る農村であったから、名家への遠慮もあってか不問に付する雰囲気があった。抗議する組合員に対し「平民は黙れ!」と一喝された場面もあった。少し民主主義に被れ始めていた友と私は、古老たちの言動が許せず、猛然と反発した。結果的に辞任へ追い込み、農協は民主化の緒についた。

 

懐かしい思い出だが、友は生涯を農村の再生に尽くした。私は理事職を一期務めた後、広島で新しい仕事をスタートした。帰省したとき久闊を叙す程度で袂を分かつことになった。農業の衰退は覆いがたく、一個人の志では力が及ばない時代になった。それでも友はコツコツと力を尽くしていた。満足な生涯を送ったかどうか知る由もないが、捧げつくしたと思う。

 

通夜で最後の別れを惜しんだ。もはやかつての精悍な面差しはないが穏やかだった。当時、交友のあった人たちは大半が人生を終えている。いずれ我も行く道だが、寂しい限りだ。

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