平成29年9月12日(№7414) 介護費膨張
介護費膨張
毎朝8時ごろ自宅を出て会社に出勤する。なぜかこの時間は介護車の往来が激しくなる。朝自宅を出て午後になって帰宅する。どのようなときを過ごされるのか分からないが、少なくとも快適なひとときを過ごしているようだ。今年も介護保険の掛け金が上った。お互い助け合いといえば聞こえはよいが、40年も最高額を掛けていれば今の相場で累計730万円。
介護保険が膨張している。介護施設や住宅サービスの給付費は約9兆円に上り、2025年度には20兆円に膨らむ見込みだ。わが夫婦は共に80歳になるが、介護保険には該当しないようでお世話になれない。多少意地っ張りなところもあり、介護保険のお世話にならないと心掛けているせいもある。リフォームの仕事をしているが、介護保険を受ける人は多い。
生活援助と呼ぶサービスを受けるのは月10回程度と平均的なケースが多いが、「家政婦代わりに使われ、本人の自立につながらない」との指摘が後を絶たない。無駄を生む理由の一つは「安さ」だ。例えば生活援助なら2,000円、自己負担は原則1割の200円ほど。最低でも1時間925円ほど掛る民間の家事代行サービスより格段に手軽だ。利用は増える。
介護サービスのケアプランを厳しくすればいいようなものだが、それも難しい。介護保険の運営主体の市町村には、プランを精査して見直しを迫る権限がない。介護事業所の経営者は、「ケアマネージャーと事業者が結託すれば防ぎようがない」と明かす。介護の効率化を進めながら、質の高いサービスや担い手のやる気を引き出せるか。最早改革を先送りできない。