1-8 ~トイレ掃除 海を渡る~
トイレ掃除 海を渡る
上海を掃除訪問
[広島掃除に学ぶ会]の一周年を記念して、上海に掃除訪問することになりました。
ことの起こりは、広島YMCAの梶原校長が姉妹校の上海YMCAを友好訪問したときの便所掃除談義にあります。
瓢箪から駒のたとえどおり、忘れた頃に上海YMCA総領事から正式の招聘があり企画されました。
団長に梶原さん(YMCA国際ビジネス専門学校校長)、副団長には井辻さん(井辻食産社長)佐古さん(事業立地社長)、顧問に鍵山さん(ローヤル社長・東京)、元岡さん(浜勝社長・長崎)という豪華メンバーです。
11月1日広島を出発したときは20名ほどでしたが、福岡空港では四国九州や近畿地方の仲間も加わり30名にふくれあがりました。
さらに上海の空港では、東京組が馳せ参じ、結局総勢38名の経営者による上海訪問団となりました。
心暖まる熱烈歓迎
その夜は、上海YMCAの歓迎レセプションがあり、YMCAや復旦大学日本語学科の若者たち数十名が暖かく迎えてくれました。
上海YMCA李総主事の歓迎あいさつに続き、日本側は梶原団長が流暢な?中国語(中国弁)で挨拶されましたが、反応を見るとあまり通じていないようでした。
参加者全員の自己紹介にはじまり日本語、中国語それに英語のまじった和気あいあいのレセプションでした。
日本掃除団 難物に取り組む
翌日は早朝から復旦大学付属老人施設のトイレ掃除でした。
聞きしにまさる汚れ方でありましたが、それよりも水が出ない、排水が流れないなどの設備不良には参りました。
水はいくらでも出る暮らしに馴れているわたしたちには信じられないことです。
見慣れた洋式水洗便器もありましたが、溝をまたいで用を足す大便所に、はじめてお目にかかりました。右手には手摺りが設置されており、それで身体のバラ ンスを取るのだと思いますが、ドアは三ケ所あっても中には仕切りがなく、場合によっては一列に三人並んで用を足すことになりますが、生活習慣とは言え理解 できないこともありました。
それでも完璧に掃除を終え、最終チェックに回ったとき、湯気の立つ現物が鎮座し、ふくいく?とした香りを漂わせているのに又びっくり。
感動いっぱいの日中交流
3日目は羅山市民会館のトイレと周辺掃除である。この日は一般市民のかたも参加され、チームを組んでのお掃除になりました。前日のショックで少々の汚れにはびくともしない。真面目に取り組むメンバーの姿をみて遠巻きに見物していた市民もぼつぼつ参加をはじめた。
市民交流会ではわたしも掃除の体験を話させてもらいましたが、これを契機として、身のまわりからきれいにしていきたいという上海市民のお話が印象的でした。
ことばは通じにくいものの掃除を通じて暖かい心が通いあい、再会を約しながらの別れとなりました。
マスコミで連日報道
滞在中、テレビや新聞の同行取材があり、次のように連日好意的に報道されました。
「広島の事業主たちによる掃除団が上海の公衆トイレを清潔感あふれるものにした。それを目撃した市民は我が家のトイレさえも隣人に清掃してもらった。我が身を振り返り、そのことを恥と思い、今後の環境問題を考えたい。」
超充実の上海掃除4日間でした。
(97年2月)