「好老社会」を創る④~知的に生きる充実した人生~
社会は変化する
日本人の平均寿命は、女性が八十六・〇五歳、男性は七十九・二九歳と過去最高を更新しています。
二〇一〇版「高齢社会白書」によりますと、平均寿命はさらに延び、
六十五歳以降の人生が長期化します。二〇五五年には国民二・五人に一人が六十五歳以上になり、
日本は世界に例のない高齢化社会になると指摘しています。
今の六十五歳の平均余命は二十二年と言われますから、六十歳の定年から
実に二十七年の人生を送らねばなりません。百歳以上の人も七%になります。
老齢年金制度も崩壊の危機にありますし、いつまでもお国が何とかしてくれる時代ではなくなりつつあります。
年を取ったら旅行したり趣味を楽しむのが高齢者の特権だと思う人があっても不思議ではありませんが、
社会情勢が変わってくると状況が変化するのが人生というものです。
甘えが許されない日々
高齢者はもっと働きなさいと言えば、怒る人も喜ぶ人もいるでしょう。
その反応が高齢者の健全な心身を計るバロメーターになりそうですね。
働くということは必ずしも、どこかに勤めて報酬を得ることだけを意味しません。
金銭的には無報酬であっても、その働きによって社会から「感謝」という報酬を受け取ることだってできます。
私たちは「生涯学習・プラスワンステージ」「人生講座」や「公園清掃」「通学路清掃」などの地域活動を
進めています。講座では高齢者が講師を務め、熟年層が学んでいます。
清掃活動もだんだん熟年者が主役に代わりつつあります。働くということは
その人の体力と能力に応じて、決まった時間に参加することも含みます。
六十五歳以上の未就労者のうち、男性は四割、女性は二割もの人が働くことを望んでいます。
男女とも大半の人が健康上の理由、経済上の理由を挙げています。
知的に生きる日々
老年は、中年、壮年とは違った生き方をしなければならない。
まずは肉体上の「自立」、そして精神上の「自律」です。このことをはっきり認識する必要があります。
「してくれない」の言葉が増えると、ほんとうの老化の始まりです。
講座に参加する人はみんな生き生きしています。それは目的・目標があるからです。
社会の中で生きることが、健康に暮らす最大の秘訣なのです。論語、古代史、日本の言葉、日本のしきたり、
地域の文化などを学ぶことにより、今日よりもっと明日を良くしたいという目標が生まれます。
生き甲斐になります。人間はもともと知的好奇心が旺盛なのです。
社会活動に参加することで刺激され、人の何倍もの充実した人生が過ごせます。
とりあえず百歳までは心身ともに健康でありたいですね。