親子農業体験塾『志路・竹の子学園物語』

⑪「子育て感謝金」贈呈のご案内

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謹啓 日頃は「親子農業体験塾『志路・竹の子学園』(以下竹の子学園)」の運営に格別のご理解とご支援をいただき、ありがとうございます。心よりお礼申し上げます。

 この度、個人的な思いがあって「子育て感謝金」を贈呈させていただくことに致しました。対象には一定の条件を設けますが、使途についての制限はございません。

 平成十五年八月に「竹の子学園」をプレオープンしましたが、同年の一月、私は胃癌の全摘出手術を行ないました。病状は「ステージ3B」の重症で手術は成功しましたが、五年後生存率は三十六㌫という危ういものでした。ところが奇跡的に社会復帰(主治医のお話)ができ、平成二十四年三月一日、後期高齢者の仲間入りをさせていただくことができました。心身共に健康でこの日を迎えることが出来たのは、心の病(癌の再発と死の恐怖)に冒されなかったことにあります。

 最大の要因はふるさとで集う子どもたち、保護者のみなさん、ふるさとの先輩との交流舞台である「竹の子学園」の活動です。とりわけ六年間もの長い間、子どもたちを連れてきてくださった保護者のみなさんには、心から感謝をしております。

 その思いを「子育て感謝金」としてカタチにさせていただきます。お受け取りくだされば嬉しゅうございます。私の老齢年金が原資ですから、義務や制約は一切生じません。

一、対 象 塾生を六年間「竹の子学園」に

      案内してくださった保護者

一、金 額 月額一万円

一、期 間 平成二十四年四月から平成二十

      五年三月までの十二ヵ月間

一、振込日 毎月十五日指定口座へ自動振込

一、その他 領収書、使途の報告は不要

 該当する保護者にご案内したところ、快く受け取っていただくことになった。誤解を生じやすい金銭のからむ取り組みが、受け入れられたことは、この上もなく嬉しい。

高齢者が生き甲斐を持てるステージを

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平成二十四年四月一日、第九期親子農業体験塾「志路・竹の子学園」はスタートした。塾生十八名、参加家族数十組、登録メンバーが四十六名。昨年に比べると極めて小規模になった。子どもたちは自然の舞台に包まれてはしゃいでいるが、主催者としては精神的に寂しい思いで準備した。

実は参加者が減ることは、昨年から予測していた。卒塾者が増えたこと、塾生の高学年化、新規の入塾生の見込みが立たなかったことなどが原因である。縁故入塾をプッシュしたが反応は薄かった。一般公募に重点を置いて説明会など催したが、参加者はゼロだった。努力が足りなかったと反省している。

いくつかの要因はあるが、経済情勢が厳しくなり、親が子どものために時間を使う余裕が少なくなったことが大きい。高学年の塾生は塾に学び、スポーツクラブへの参加で時間にゆとりがなくなったことも影響した。主催者としては忸怩たる思いはあるが、現実を甘受するしかない。世話役もすべて八十路を超え、高齢化で心身共に衰えを見せ始めた。しかし、過疎地域の活性化に対する思いは強い。

三年前から熟年層を対象に「生涯学習・プラスワンステージ」を開講している。知的好奇心の旺盛な高齢者は多く、ようやく軌道に乗り受講者は増え始めた。中には自然体験、農業体験の機会を求める声も出ている。

竹の子学園の目的に①子どもの教育、②高齢者の生き甲斐、③過疎地域の活性化、④都市と農村の交流をあげていたが、ピンチはチャンスではないかと考え始めている。「親子農業体験塾」を「三世代農業体験塾」に進化できないか。子どもたちの歓声を聞きながら、このなかに高齢者を融合させたらどうなるか考え始めている。もしかしたら十周年は奇想天外なスタイルで祝うことになるかもしれないと、夢をふくらませている。

高齢者世代が社会的責任を果たす

税と社会保障の一体改革に不退転の決意で臨むと野田佳彦首相は再三にわたって言明しているが、当面は消費税増税の成立に全力を尽くし、社会保障については別途に進めることになった。ところが、消費税増税に関する法案も党内が一本化せず行方が定まらない。まさに「何も決められない日本の政治」と揶揄される外野席の指摘通りになりつつある。

わが国の将来人口は2048年に1億人を割り込み、2060年には8674万人になる。経済にもっとも大きな影響を与える生産年令人口は2060年には4418万人になると推定される。生産年齢人口に対する老年従属人口指数(生産年齢人口100に対する老年人口の比)を見ると、2060年には78、4(働き手1,3人で高齢者1人を扶養)まで上昇し、いわゆる肩車型に達するものと思われる。数字の上では高齢者が老後の安穏を若年者に頼ることは、社会保障の一体改革を目指しても不可能だと分かる。

このような事象を考えるとき、税と社会保障一体改革以上に人口を増やす政策を総動員することが喫緊のテーマとなる。

もう一つ、金融資産の保有額にも目を向けなければならない。子育てにもっともお金がかかる三十歳代、四十歳代は蓄えが極めて少ない。すでに子育てを終えた六十歳代、七十歳代は豊かである。だとすれば六十歳以上の世代が、さまざまなカタチで子育て世代に資金援助を行なうことが自然であり、かつ好ましい政策であると考えられる。

若いときから老後の生活設計を立て、つましい暮らしの習慣を身につけ、肩車型の老後保障など不要になるよう自立すべきだと思う。高齢者の多くは豊かである。若い世代がいつでも子どもを産める社会にし、安心して子育てができる仕組みを提供したいものだ。

「子育て感謝金」の贈呈システムは、新しい社会へのささやかなチャレンジだと考えている。若い世代への支援は、高齢者の社会的責任を果たす一歩となる。

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