超高齢化社会の「生きがい」チャレンジ

⑤「ひたすら まちを 美しく」の実践夢拾い(ごみ拾い)ウォークinKOYO

⑤「ひたすら まちを 美しく」の実践夢拾い(ごみ拾い)ウォークinKOYO

清掃活動が15年を超える

掃除の神様と称えられる鍵山秀三郎さん(イエローハット創業者)にご縁をいただいたのが平成8年、それから18年の歳月が流れた。たかが掃除というが、人生を変えるほどの魔力を持っている。出会いは『日本を美しくする会』のトイレ磨き活動だが、何よりも鍵山さんの生き方に惹かれた。日本国内はもとより中国、ブラジル、台湾など海外の活動にもお供した。すっかり人生が変わった。

鍵山さんは「自分とともに掃除活動をするのもよいが、学んだことを自分の職場や地域で実践し、掃除の素晴らしさを伝えながら広げて欲しい」と話された。その言葉がストンと腑に落ちた。徒歩通勤しながら歩道のごみ拾いからスタートした。

やがて会社近くのバス停やJR駅のトイレ磨き、通学路、公園、学校の美化などに活動の輪を広げていった。さいわい社員の同調を得て全員が参加する活動に進化した。鍵山さんの願いどおりに地域において広がりを見せるようになった。通学路清掃のきっかけはあいさつ運動からだが、「おはようございます」と声をかけても反応は少なかった。

ところが箒を持って掃除をしながら声をかけると、明るい返事が返ってくる。掃除などには無関心な子どもでも、「掃除は良いこと」で「掃除をしている人は善良な人」だと本能的に察知するのだ。これは重要な事実だ。暮しやすい地域をつくる近道は「掃除」だと確信できた。当然であるが「掃除をする会社は善良な会社」なのである。

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掃除活動を町民運動にやがて『夢拾いウォーク』へ

掃除活動はレクリエーションではないが楽しくなければ続かないし広がらない。現在、8カ所の公園のトイレ磨きを、地域のシニアの支援を得て実践している。反響ははかばかしくはないが、公園周辺に参加を呼びかけている。「自分たちの町は自分たちで美しくする」という習慣が生まれると町は暮らしやすくなるし、なによりも絆が強くなる。高齢化社会に伴い過疎化が進む地域に連帯の心は欠かせない。そのきっかけの一つを掃除に求めた。鍵山さんの願いもここにある。

よくゴミを捨てるのは夢を捨て、ゴミを拾うのは夢を拾うのと同じだと言われる。その箴言にヒントを得た。それが平成25年11月17日に実施した『夢拾いウォークinKOYO』である。8ヶ所の公園に集まり、ゴールを目指してゴミを拾いながら歩き続ける。遊びでないことを意義付けるために会費500円を求めた。会費まで払ってゴミ拾いする人はいないと酷評され、参加人数を心配したが杞憂に終わった。5年前から続けている講座のシニアメンバーを中心にして138名もの誇り高き善意の人が各公園に集結した。[一つ拾えば一つだけきれいになる]と染められたグリーンのマフラータオルを首に巻き、手にゴミ袋と火ばしを持ち、ゴールを目指して歩き続けた。子どもたちの参加も多く、三世代のウォークは壮観だった。地元テレビが取材し、特集番組として放映してくれた。美しい町はそこに暮らす人たちの誇りになり、やがて大きな活動に発展する予感がした。

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高齢者は外に出る 人に会う話をする そして学ぶ

少子高齢化社会への移行に伴って一人暮らしのお年寄りが増え、引きこもりの人が多くなった。話し相手はテレビだけという独居老人もめずらしくない。その人たちには先ず外に出るよう勧めている。そして人に会う。話をする。ここまででも構わないが、出来れば少しでいいから学ぶ。それだけでも老いはストップできる。それにはさまざまな仕掛けとステージが必要だ。

現在では熟年者を対象に『人生講座』が月に4講座、『生涯学習・プラスワンステージ』は毎週水曜日に開催、それぞれ講師が異なり、学ぶテーマが多岐にわたる。ほかに『住まいの物語』3講座、地域の芸術家の作品が鑑賞出来る『小粋なギャラリー』が15日間開かれている。年に2回の歴史探訪バスツアーも人気だ。そこは地域のサロンであり、新しいスタイルのコミュニティが出現している。「出る」「人に会う」「話をする」「学ぶ」の機会が用意されている。

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『生涯学習』第三水曜日の講師を務める小山正さん

小山正さんは地元金融機関の最高幹部として定年を迎えたが、かねて関心の深かった『古事記』の研究に没頭している。日本の原点を追求しながら、高名な学者らの「論」や「説」に疑念を抱くことになる。大胆にも『新・小山学』と銘打って生涯学習の常任講師として平成21年4月に地域デビューした。研究の成果として「古代への道」「古代への道Ⅱ・天鳥船」を上梓した。これまでの「古事記」の定説を真っ向から否定して世に問うた。

平成25年11月に記念すべき50回目の講座を迎えた。スタートしてからひたすら歴史の真実を追究する姿に感動する人が多く、午前と午後の二つの講座にファンが詰める。90分の講座であるが、熱中する余り時間延長はいつものこと。狭い研修室は熱気で溢れている。受講者は500円の会費を負担するが、茶菓代と資料費に消える。したがって講師は純然たる奉仕活動となる。報酬は金銭を伴わない生き甲斐であり、地域社会への貢献である。

小山講師の熱気に若さを蘇らせる高齢者は多い。その結果が地域活動への参加を促し、活性化の道を開いている。先述した『夢拾いウォーク』の参加者は、講座のメンバーが中核を占める。イベントの運営に当たっては積極的にグループのリーダーとなり、イベントを盛り上げた。

地域社会の活性化にはさまざまな手法が試みられているが、必ずしも成功しているとは言い難い。まして公費が助成する活動には甘さが伴いマンネリに陥るケースが多い。現役時代に経済社会を背負っていたリーダーたちが、地域社会に戻って高齢化社会の活性化に貢献してはどうだろうか。「金持ち」「知恵持ち」「時間持ち」の力を存分に発揮できたとしたら、自主・自立の新しい高齢化社会が実現するのではないか。生き方が謙虚であることに加え、金銭的な報酬を求めなければ可能だと信じている。小山さんはそのモデルとして先達になる

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