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No.10 ~自然は、子供たちに”学び取る力”を教え育む~

No.10 ~自然は、子供たちに"学び取る力"を教え育む~No.10 ~自然は、子供たちに"学び取る力"を教え育む~

No.10 ~自然は、子供たちに"学び取る力"を教え育む~自然は、子供たちに“学び取る力”を教え育む

遊ぶことは子供の天分

 景気は底を突いて、踊り場にいると竹中平蔵・経済財政担当大臣はのたまう。だが、中小企業の現場における実感は政府の観測とは異なる。いったん上向きかけた景気は、再び下降しそうな気配が濃厚である。

 大切な家族を守らねばならない親父としては、「何とかなるさ」と呑気に構えてはおれない。死に物狂いで働くことが、苦況を乗り切る最善の策と思う。といって、やみくもに動くだけでは成果は挙がらない。

こんなときは「エイ、ヤ!」と開き直って、夢中でしかも楽しく働く心構えが必要だろう。そうすれば思いがけないアイデアが湧き出て、新たな道も開けようというものだ。  

 「子供が遊んでばかりいて勉強しない」と嘆く親は多い。その揚げ句「勉強しろ!塾へ行け!」と、尻を叩かれる遊び盛りの子供の方はたまったものではない。学力低下を心配して、再び詰め込み教育を復活させようとする風潮の中で、親の叱咤激励は更に拍車が掛かってきた。

 それは、とんでもない間違いではないのか。大人が夢中で働くとき、新しい発想や工夫が生まれるように、子供だって遊びに熱中するとき、新しい知恵や創造力が育ってくる。

 いつも親の目を気にする子供に、人間的な成長は望めない。子供が夢中になる遊びを共に探す配慮も、親の役割の一つだと思う。遊びは子供にとって、大切な天分なのである。

基本的な学力・能力とは?

 中山成彬文部科学大臣が「ゆとり教育」を心配した発言の根拠は、経済開発協力機構(OECD)の調査(PISA)で「日本の子供の学力が著しく低下した」という発表を受けたからだ。PISAが指摘したのは「知識の量」ではあるまい。

 結論を先に言えば「学習する能力の低下」であろうか。問題解決能力、コミュニケーション能力、生きる自信など、詰め込み教育の教科では得られない能力が求められている。

 親子農業体験塾《志路・竹の子学園》では、塾生親子と「十ヵ条」の約束を交わし、実践している。
 ①素直になる、②我慢する、③良い習慣を付ける、④社会の約束を守る、⑤自信をもつ、⑥甘えない、⑦
自分で考える、⑧やる気を起こす、⑨やさしくなる、⑩がんばる― を、自然を相手に修得する約束だ。

 これらを身に付けることが、21世紀の学力の基本だと心得ている。

 他から強制されるのではなく、自らの意思で学び取る意欲・自主性こそ、今の子供たちに求められる能力であろう。親は子供の学力とは何か―を正しく理解する必要がある。

世代や年齢を超えて学び合う場

 勉強の得意な子も不得手な子も、低学年や高学年も共に自然体験する中から、それぞれの感性に応じて学び合う。《竹の子学園》の世話役は、大半が高齢者だ。厳しい中にも優しさにあふれ、人の心を和ませる。

 土に親しみ、楽しく作物を育てながら、親は子供の素晴らしさを再認識し、子供は普段の暮らしとは全く違う新しい絆を発見する。高学年の子は、低学年の子を思いやり、いたわる。逆に、小さい子は体験を通して、大きい子を尊敬し、信頼する。

 ここには子供たちの大好きなファミコンや便利な自動販売機もない。むしろ異次元とも思える不自由な自然環境を舞台に、塾生親子らが高齢な世話役に支えられ、嬉々として躍動する姿は感動的でさえある。

 ささやかな学習体験かもしれないが、《竹の子学園》の一年間で、自ら学ぶ意欲の大切さを感受し、育めたと確信している。第一期の思い出 アルバムから、学びのプロセスを感 じ取っていただければ幸いである。

 昨年の入塾式は2004年4月4日で、「喜びと幸せの二重奏」と語呂合わせした。今年は05年4月3日を予定している。麻雀ゲームでい う「一気通貫」と、縁起も良い。

 未来の日本を背負って立つ子供たち― 大きな可能性を秘めた彼らの能力を最大限に生かし伸ばしたい。そのために、私たちに今、何が出来るかが問われていよう。

 未知に挑む夢と希望で、新たな予感に胸をときめかせながら、今春も新鮮な出会いを心待ちしてる。