世相藪睨み

No.12 ~自ら範を示すリーダー~

自ら範を示すリーダー

県知事が素手でトイレを磨く

2001年9月22日(土)と23日(日)の両日にわたって、第二回「日本を美しくする会・全国大会」が、まだ酷暑の残る高知市内で開催され、予想以上に賑わった。

参加者は、トイレを磨くことで己の心を磨こう― という全国の掃除仲間たち。高知県外からの412名を含む1500名に上る善男善女らがトイレ磨きに心地良い汗を流した。

全国大会は三部構成で、初日が第一部「講演会・シンポジウム」と第二部「交流会」、翌日が第三部「掃除実習」。大いに盛り上がった。

開会式には橋本大二郎・高知県知事や松尾徹人・高知市長も出席、共に熱の込もった歓迎あいさつをされた。この種の催しに出席した行政リーダーは、あいさつなどを済ませると、さっさと退席するのが通例である。

ところが、橋本知事は違った。交流会には夫妻ともに参加されて、記念撮影などにも気軽に応じられた。

そればかりか、翌日も姿を見せて、思いがけずも掃除実習では素足に素手で、黄色に変色した便器磨きに挑戦されたではないか。

これを橋本知事流のパフォーマンスだと冷やかす人もいるが、単にパフォーマンスだけでは悪臭漂う便器に素手など突っ込めない。

1500人も掃除仲間が集まった理由

第一回「日本を美しくする会・全国大会」は、前年の8月に東京都内で開催された。全国から1200名に及ぶ掃除仲間が参加、感動的な中身の濃い初イベントとなった。

第二回全国大会は、主催の「高知掃除に学ぶ会」が名乗り出て、誘致を決め、「1000人でトイレを磨こう」という旗印を掲げて、全国的に幅広く参加の呼び掛けを始めた。

東京だからこそ、1000名を超える掃除仲間が集まった。今回は当初、遠隔地にある高知県だけに1000名も集めるのはとても難しい、と関係者の誰もが思っていた。

主催側は「全国の仲間と共に、学校のトイレ掃除を通して心を磨き、地域と人、子供たちとの結び付きも磨いていこう」と熱くPR展開…。関心を高め、参加の輪を広げた。

大会は、高知築城四百周年記念事業として位置付けられた。かつてトイレ磨きの経験を持つ橋本知事は、自らの体験を振り返り「やる前は壁があるが、やってみると喜びがある」と大乗り気で、「立場や肩書抜きに参加でき、満足感ある大会を目指してほしい」と全面協力を約束した。

松尾市長もトイレ掃除の常連とあって、両トップの積極的なバックアップが関係者を奮い立たせ、無理といわれた1000名をはるかに上回る1500名もの盛況を呼んだと思われる。

リーダー役のあるべき姿

第三部「掃除実習」で、橋本知事は素手、素足でトイレ磨きに取り組まれた。そして、自分の後始末は自分でする心、人の後始末さえも喜んでさせていただく心、モノを大切にする心などがどれだけ重要か、リーダーとして自らの行動で示された。

とかく口先だけの美辞麗句で事足れりとするリーダーのやたら多い中で、この橋本知事の得難い実践ぶりは称賛に値しよう。

橋本知事の素手によるトイレ磨きは、数多くの市民らが目撃している。参加した私たちもこの目で見た。そして感動した。

テレビも新聞も、トイレ磨きに頑張る橋本知事を大きく報道した。大会に無関係・無関心な市民らや子供たちにも、私たちが味わったのと同じ感動が伝わったに違いなかろう。

「リーダーは自ら範を示すべし」…。橋本知事は背中でそう訴えながら、一心不乱にトイレと向かい合って、磨いておられた。

(2001年12月号掲載)