続・世相藪睨み

No.15 ~溶けていくニッポンを救おう  有権者よ、今こそ立ちあがれ~

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溶けていくニッポンを救おう 有権者よ、今こそ立ちあがれ

 日本はおろか地球の隅々まで陰湿で品格の乏しい話題が、ようもここまでと思うほど次々に飛び込んでくる。何か明るい話題はないものかと待っていたら、2010年ノーベル化学賞受賞のビッグニュースが届いた。栄誉に輝かれたのは北海道大名誉教授・鈴木章氏(80)と米パデュー大特別教授・根岸英一氏(75)。

 受賞理由は門外漢なので十分理解できないが、低下著しい日本国の名誉をいささかでも挽回した快挙である。科学技術分野の仕分けで「なぜ二番ではいけないのか」なる名言を吐いて予算を削ろうとした阿呆な大臣もいるが、オンリーワンでなければ世界は注目してくれない。
 研究開発のプロセスでは足を引っ張っているのに、他国から成果を認められるとあわてて拍手を送る大臣らには呆れ返る。菅直人首相の祝意に対し「日本の科学技術は世界でもトップクラスなので、もっと生かしてほしい」と、受賞者の鈴木教授はちょっぴり皮肉を交えた謝意。
 鈴木教授は北海道生まれ。豊かな自然のなかで野山を走り回り、川や沼で魚釣りを楽しむこどもだったという。塾もなかったし、親から勉強しろとも強制されなかった。それでも勉強嫌いでなければ、科学者として最高の栄誉を手に入れられる。
 一番はやっぱりいい。日本人のすべてに大きな希望と勇気をプレゼントしてくれた。今回の栄誉を機会に科学者が伸び伸びと研究できる環境づくりを進めてほしいものだ。
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 事情あって昨年の六月「ビジネス界」は休刊を余儀なくされた。「続・世相藪睨み」を連載中だったが、やむなく13回で中断、14回分は掲載されなかった。その原稿を読み返してみると面白い。名前と日付だけ変えると、昨日書いたように生々しい。つまり日本の政治家らは一年半、無為徒食であった証である。一節を再掲させていただく。

政権交代で日本は良くならない

 『どこまで堕ちるか分からない日本政治の現状だが、民主党代表は金権権化の小沢一郎さんから友愛坊ちゃんの鳩山由紀夫さんに代わった。だが「民主党が政権を取れば日本は良くなる」のキャッチフレーズは引き継いだ。笑わせてはいけない。政権が交代して日本が良くなるのなら、これほど簡単なことはない。日本を良くするのは勝れた政策であり、強い遂行能力である。
 遅くとも九月までには総選挙が実施されるが、自民党が政権を死守するのか、民主党が念願の政権を奪取するのか予測ができない。どちらもホームランはおろかポテンヒットさえ打てず、相手のエラーでのみ得点を重ねている現状だ。その都度、世論調査は右往左往する。たまにはクリーンヒットで観客を沸かせるプロ野球を範としてもらいたい。麻生さんは性懲りもなく言動がぶれ続け、失点の積み重ねで国民のため息を呻き声に変えた。鳩山さんは国を憂う志が見えず、政権担当能力の疑問が解消しない。小沢さんは政治献金疑惑を晴らすどころか、一点の曇りもないと開き直った。永田町の話は余りにも遠すぎて、国民の目には見えなくなった。
 今はっきり言えることは総選挙の結果、いずれが政権を担ったとしても、政治も経済もさらに低迷を深め国民の暮らしが益々疲弊し続けることは間違いない。一年に一度、総理大臣が代わっていると批判されるが、これからは半年に一度はトップの顔が違う時代に入る。つまりどの政権も半年は保たないということだ。
 日本は溶けはじめた。それでも暗愚な政治家たちに、日本の将来と国民の暮らしを任せてよいのか。』
(2009・6月号原稿 未掲載)

お家の一大事に何も言えない

 やっとの思いで政権交代を果たし、念願の総理大臣の座まで上り詰めた菅直人さんのクビをわずか四カ月ですげ替えるのはみっともないから、もう少し頑張ってほしいけどもういけない。あなたの暗愚に付き合っていると日本が溶けてしまう。
 アジア欧州会議で豪・韓・越首脳と2国間会談を行い「尖閣問題に理解を得た」と菅首相は白い歯を見せたが、理解程度は誰でもしてくれる。日本の外交が正しいとは言ってくれない。どうせ他人事だから「そうだね」と言っておけば事は済む。
 中国の恩家宝首相を廊下で呼び止めて雑談をしたのは、菅さんとしては勇気ある行動だった。しかし、拘束された日本人を返せ! となぜ言えないのか。恩首相が「魚釣島は中国の領土だ」と主張しても、あいまいに笑ってよき友のふりをする。
 ニューヨークで開かれた国連総会でも、あれだけ恩首相から足蹴にされながら、二度も演説したのにわが国の主権を主張しない。オバマ大統領との会談でも、中国問題は避けて通る。こどもの喧嘩だって対等なら主張すべきはきちんとする。あげくの果ては何でも人任せ。遠吠えすらできない役立たずに思える。
 衆院本会議で自民党の稲田朋美議員に対して「原稿を見ないで質問するのが筋だ」と菅さんはいきり立った。その通りだ。しかし稲田議員の「官僚の用意した原稿を読まず、首相自身の言葉で答弁してほしい」とただした発言に対する答弁となれば話は違う。後から陳謝したが、なんとも見苦しい。哀れをとどめる。
 自身のことばどころか、官僚の書いた原稿もしどろもどろでまともに読めない。本会議の質疑応答はセレモニーだから、見せどころでは拍手が起こり野次も飛ぶのが通例。それなのに議場は白け切って、気味が悪いほど静かだった。
 国家の主権を侵されるような他国の行為に対しては、遠くからでも構わないから怒鳴り付けてほしい。そうでないと国民はやりきれない。

もの言えば唇寒し民主党の秋

 『小沢氏 強制起訴へ』日刊紙の一面トップに踊った。民主党の小沢一郎元幹事長の政治資金規正法違反事件で、東京第五検察審議会は検察の不起訴処分を「強制起訴すべきだ」と決議した。小沢さんは事件に対して不起訴になったから真っ白だと強弁していたが、とんでもない自分勝手な解釈だ。白か黒かはっきりしなかったに過ぎない。検察審議会は検事の勝手な判断ではなく、裁判で黒白を付けるべきだと言ったのだ。「離党も辞職もしない。権力と戦うのみだ」と息巻いているが、政治家として倫理感が欠如しており、厚顔無恥そのものだ。恥知らずにも程がある。
 牧野聖修・民主党役員が「起訴議決を受けた小沢さんは自ら身を引くべきだ。さもなくば離党勧告か除名処分だ」と正論を述べたところ、あっさり更迭された。当然のことも言えない民主党に明日はない。菅さんは小沢氏が判断することだと逃げているが、本人は〈唯我独尊〉動くはずもない。せっかく天が与えてくれたチャンスだ。思い切って追放すればいい。そうすれば民主党は小沢呪縛から解放され、風通しがよくなる。新しい明日が見えるかもしれない。
 なにはともあれ国民が納得する自浄能力を発揮しないと、いつまでも温和しくしてはいない。