世相藪睨み

No.9 ~空き缶回収の値打ち~

空き缶回収の値打ち

すさまじい飲料缶の消費量

最近、ペットボトルに押され、やや消費が伸び悩んでいるとはいえ、わが国の飲料缶(ビール及び清涼飲料)の需要はすさまじい。一年間で353億缶にも達し、そのうちアルミ缶の割合は448%で、167億缶(26万トン)にもなるから驚きだ。

わが国のアルミ缶消費は、アメリカの1000億缶には遠く及ばないものの、西ヨーロッパ15カ国の全消費量を上回っているほど。

特筆できるのは、アルミ缶のリサイクル率が81%で、大量消費国としては世界でトップの回収率を誇る。しかも再生使用量は80%を超え、135億缶が、再び市場へお目見えしていることも知っておきたい。

アルミを飲料缶にすることの是非はさておいて、アルミ缶回収率を高めれば高めるほど、省エネ効果が発揮される。ご存じだろうか?

アルミ缶が捨てられない理由

アルミニウムは天然資源のボーキサイトからアルミナを抽出し、これを電気分解して金属化する。この工程で多量の電気を消費するため「電気食い虫」と別称されている。

一度、金属となったアルミニウムは、新地金を製造するときに比べ、わずか約3%のエネルギーで再生地金になる。

また、再生地金になったアルミは、何度でも再生地金としてリサイクルが出来る。

2000年に回収され、再生地金になったアルミ缶21万トンは、ボーキサイトから新たに地金を造る場合に比べて、42億キロワットもの電力量を節減している。これは首都圏の一都四県(計1414万世帯)の一カ月分の消費電力に相当するほどだ。

アルミ缶を粗末にしてはならない理由が、ここにある。

回収活動を続ける子供たち

小・中学校の総合的学習における環境問題に関する取り組みは、時代の花形といえよう。省資源・省エネについて学習し、日常活動に変えていく子供たちや学校が増えている。

学んだだけでは役に立たない。学んだことを実践して検証しようとする新しい試みだから、実に意義深い。

広島市安佐北区にある市立日浦中学校の生徒らの取り組みも、その一つである。

同校では、昨年9月から二年生の子供たちがアルミ缶の回収活動を始めた。目的は、資源の再利用とともに身体の不自由なお年寄りに「車いす」を贈るためである。

アルミ製の「車いす」は、1台10万円もする。アルミ缶は1キログラム当たり50円で引き取ってもらえる。

アルミ缶一個の価格は約70銭。10万円を貯めるには、15万個という気の遠くなる数量が必要となる。

アルミ缶が「車いす」になる

子供たちは、当初三年間で10万円貯めることを目標にしていた。ところが、二年生の取り組みを知った他の学年の子供たちもバックアップした。地域でも協力の輪が広がった。

自分たちのアルミ缶回収活動が、地域にも認められて、社会のために役立つことを知った子供たちは、さらに燃えた。

その成果がすごい。わずか10カ月間の活動で念願の「車いす」を手にすることができたのだ。汗と努力の結晶といえる「車いす」は二学期の初めに子供たちから、地域の老人ホームに贈られる。まさに快挙である。

何気なく空き缶をポイ捨てする大人たちよ、平気で町をゴミで汚す大人たちよ、子供たちを範とすべきではないか…。

(2001年9月号掲載)