花咲く子供たちの夢

はじめて新築工事を担当

二代目として社長に就任したお祝いでもあるかのように、約五十坪の新築住宅をご注文いただきました。
基本プランはベテランの先代が設計してくれましたが、さらにお客さまの要望を盛り込むのは思ったより難しい仕事でした。
親子四人に父親が同居の二世帯住宅で、しかも忙しい公務員の共働きとあって最終合意に達するには、
それなりの時間が必要でした。
当初は四十坪程度の計画でしたが、一生に一度のことですから、夢は広がるばかりです。
土地の購入と合わせての新築ですから大きな買物となり、責任がずっしり重くのしかかります。

耐久性を最優先に

内装や照明計画、それに設備機器商品の配置などはインテリアコーディネーターに一任し、
少々の地震でもびくともしない丈夫な構造計画に腐心しました。
やや軟弱な地盤には要所に杭を打ち込み、基礎は全面を鉄筋コンクリートでベタ基礎を立ち上げました。
土台がしっかりしていれば安心だから、耐震強度には特に留意しています。
構造材はすべて四寸仕様で国産材を用いることにしましたが、予算の兼ね合いと乾燥材の調達が苦労でした。
生乾きの木材はクレームのもとになり、耐用年数にも大きく影響します。

北関東の材木問屋から調達

価格、品質とも納得ができず途方に暮れました。
結局、無謀と思いましたが先代と親交のある北関東最大の木材問屋・前川林業へ、厚かましくも数多くの条件を付けて納品をお願いしました。
遠隔地でもあり要望がわがままなので、商売にはならなかったと思いますが、幸いにもすべての希望が適えられました。
先代は「商品は買ってやるのではない。売っていただくのだ」と、口うるさく言います。
その気持ちは大切だと実感しています。

願えば適う

お客さまの立場になって考える│と教えられていますが、行動に移すのは簡単ではありません。
しかし、良質な木材を求めるための妥協は一切しませんでした。
幸い上棟の日は晴れ。前日の午後、茨城を出発したトラック隊が夜明けと共に続々到着、四台分の木材がレッカーで現場に積み上げられました。
長さ6、厚さ39、幅12の桁の大きさにびっくりの一瞬。
願えば適うもの、朝日に輝く木材の光沢のつややかさに感動のひととき。
さっそく乾杯の儀式を終え、棟梁の掛け声で棟上げの作業がスタート。
土台、柱、梁、桁と順序よく建てられます。

花開く子どもたちの夢

施主の子供さんは中学一年と小学一年の男の子。
子供部屋は二階の東側に与えられ、朝一番に太陽の輝きが飛び込むように設計されています。
目覚めて窓を開けると、同じように小鳥たちのさえずりが聞こえるようにとの注文でした。
だから同じように開口部は、東側に並んでいないといけないのです。
向きが異なると小鳥たちの声も違います。二階の間取りは子供たちのスペースを最優先に設計されました。
現場にきてヘルメットを被り、子供たちは嬉しそうに飛び跳ねていました。
家の出来上がるプロセスを見ることは、住まいに対する愛着が一層強くなります。

三世代同居の条件

同居する父親の居場所も一階の東側に設けました。
子や孫たちと付かず離れずの暮らしが希望でした。
高齢者の部屋はどのような豪華なしつらえでも孤立させてはならない。
三代家族の生活の中で、多少の結界生を持った居場所が必要です。
その結果は、時としてプライバシーを保ち、時にははずされて子や孫との接触を許すアルコープのようなものです。
高齢化社会への移行にともない三世代同居の住まいが増える傾向にありますが、それぞれのプライバシーをそこなわず、しかも気軽に行き来できる和やかな設計が求められます。

自然を取り込む

柱、建具、床、屋根などのカタチあるもの、光、風、音、香りのような目に見えないものがおぎないあって住まいの質を作っています。 
カタチのないものに配慮しながら、建物の設計を吟味してこそ良質の住まいが得られます。
障子は窓というより光る壁。その光を床全体が受けて壁と天井に反射させ、部屋全体に柔らかい光の質を生み出すのも日本風です。
自然界の様子を風の音と体感によって感じ取る、そこに生活の構えとリズムが生れます。
設計の観点として人の動線が重要視されますが、風や光の動線も同じように大切です。

まもなく完成

風の音と同様に、夏の蝉しぐれ、秋の虫の音、雨の音、雪の降るかすかな囁きまで、音の楽しみまで設計には取り入れたいものです。
機能本位、コスト優先の設計を否定するものではありませんが、自然と調和し共生する日本古来の住まいももう一度見なおしたいものですね。
そんな思いを込めて私が初めて担当した住宅は間もなく完成し、新居での家族の暮らしが始まります。
柱はすべて木曽ヒノキを採用しており、天然木が醸しだす優雅な香りが漂っています。
次号では完成した住まいのすべてと、お客さまの声をお伝えします。

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