平成29年9月30日(№7432) 平穏死

平穏死

重篤な患者には気管に管を入れる、点滴注射を行う、尿道に管を入れる、苦しいと言えば麻酔薬を打つ、そして患者が昏々と眠ってしまうが、栄養剤はたっぷり注射する、などの医療行為を連続で行い、考える人間でない人間を作ってきた。わしたちの医療は人間を人間でないものにし、人生最悪の不幸のうちに終末に至らしめていた。何ともみじめな最後だ。

 

医療処置を施さない自然な死、それを「平穏死」と名付けている。「大往生したけりゃ医療と関わるな」と京都市の中村仁一医師が著した。枯れる死を妨害するのが点滴、酸素吸入の延命治療、何とかするのが病院。自然に老いていく老衰という概念の重要性を説く。そして「老い」を「病」とすり替えてはいけないと強調する。日野原医師はどんな最後だったか。

 

自宅で死にたいと6割ほどの人が願うが、やっと13%に過ぎない。病院死の割合も減ったが、高齢者施設での看取りが増えている。施設死が増えた要因は、厚労省が力を入れてきた「ユニット型個室」の広がり。個室では長年自宅で使っていた家具や食器、中には仏壇を置く人もある。そんな環境で暮らすと「最後は病院ではなく、この特養の居室で」となる。

 

先進諸国で医療や介護の充実度を測る目安は、それらをサービスとしてきちんと享受できるかどうかにかかっている。病院や従来型施設は、安住の場ではなく非日常的な空間だ。自宅や自宅に近い環境の集合住宅に住みつつ医療や介護の選択肢があるかどうかがポイントだ。病院での死亡割合が少なければ少ないほど、その国の医療・介護が行き届いている。

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