木原伸雄のちょっとと～く

頑固に50年

零細企業でも金融機関とのややこしいお付き合いをするケースは少なくない。苦しい時の保険つなぎに活用するのに役立つ。それなりに資金運用に役立つ手法と聞く。弊社がＬＰガスの小売業を始めたのは昭和40年、貧乏世帯で資金繰りに難儀をしており、SОSで走り込んだのが取引のない広島市信用組合。「前例はないが…」と言いながら助けてもらった。

今にして思えば世間知らずで汗顔の至りだが、今年の２月で創業50年になった。広島商工会議所で永年継続企業の表彰を受けながら、細々ながら生き残ってきたことに思いを馳せ感慨深い。創業以来、メインバンクは一行に絞り、右顧左眄をしたことは一度もなかった。バカ正直だと揶揄されながら筋は違えなかった。高い金利を払いながら後悔はしていない。

日本格付研究所（ＪＣＲ）による格付けが、このほど「Ａ－」から「Ａ」に引き上げられたと地元の経済誌が報じていた。金融機関の透明性が取引先から強く求められているが、全国１５４の信用組合で格付けを取得しているのは広島市信用組合だけ。「第三者からの評価で透明性が高まり、地方公共団体、企業、一般顧客からも安心して預金していただける」。

今後もより一層経営体質の強化に努めたいと山本明宏理事長は頼もしく語る。自分のことのように嬉しい。取引先が高い評価を受けるのは、自分が褒められたのと同じことだ。山本さんは入組して50年、１０年前、理事長の地位に上り詰められた。右顧左眄しなくても、偏屈なほど堅物でも、経営の筋を曲げなければ、世間は支持してくれることを示された。

昨日、山本さんより創立50年のお祝いが届いた。分に過ぎる豪華な胡蝶蘭を飾りながら、わが身の幸せを実感している。