平成28年6月15日(№7020) 復興の見通しが立たない
投稿日:2016.06.15
復興の見通しが立たない
熊本地震は4月14日に起きたから丸2カ月が経過した。被災者の生活再建を後押しするのは行政の役割だが、重要なのが住宅供給だ。地震で被害を受けた住宅は14万棟を超える中、仮設住宅の建設に着手した16市町村のうち、甲佐町で入居が始まった。入居の前提条件となる罹災証明書は、被災自治体のすべてで発行が開始された。
罹災証明書は住宅の補修や仮設住宅への入居、生活再建支援金の給付などに必要。罹災証明書は家屋被害を、「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」の4区分で認定する。市によると仮設住宅や、家賃が無料になるみなし仮設に入居できるのは大規模半壊以上。自宅に戻るため、最小限の補修を市が業者に依頼するのは半壊以上に限られる。
被災住宅のうち全半壊は3万棟に上る。長期の避難所生活を強いられる被災者からは、「対応が遅い」と批判されている。仮設住宅の入居要件は当初、「全壊」「大規模半壊」と認められた場合に限られていた。その後、国は「半壊」も入居可能とする通達を出し、県は自宅を解体・撤去する誓約書の提出を条件としが、誓約書も不要とした。
農業は田植えシーズンを迎えたが、地割れや用水路寸断の影響で、県内では最大660㌶が作付けできない。有数の稲作地域である熊本市東区の秋津地区は被害が大きく、作付面積は180㌶のうち14㌶にとどまる。秋津営農組合の中川代表理事は「土地の修復には3~4年掛かる」と嘆く。建設業者は不足し、損壊した住宅の多くは無残な姿を晒している。