平成27年1月23日(№6609) 消える過疎の明かり
投稿日:2015.01.23
消える過疎の明かり
1月18日、広島市安佐北区檜山地区で開かれていた「農業体験教室」が、16年の幕を閉じた。山間の集落で都市住民と農業体験を通じて交流を重ねてきたが、世話役たちの高齢化の波に抗しきれなかった。市内では先駆け的存在のユニークな活動であっただけに極めて残念だ。住民たちの並々ならぬ努力が地道な活動を16年も支えてきた。惜別の情がある。
都市住民が農作業の体験を通じて農村の人達と交流する活動は、過疎集落の地域活性化の熱意がまとまらないと続けられない。発足した1998年には20人いた世話役も、最後には5人に減少していた。月に一回参加するメンバーのお世話も簡単ではないが、目に見えない農作物の管理は想像を絶する厳しさだ。3500㎡もの農園管理はよくぞ続けられたと拍手。
16年間で延べ300組の親子チームが参加してきたが、自然と農業に親しむ機会を失った。活動を始めることは難しいが、続けることはなお難しい。行政や地域の支援はどうだったのか、一旦幕を閉じると再び立ち上げることは出来ない。檜山地区は20世帯40人余りが暮らす小集落だが、こころの支えを失ったショックは大きいのではないだろうか。お疲れさま。
親子農業体験塾「志路竹の子学園」も似たような活動であるが、運営の仕組みやサポート体制は異なる。零細企業には重すぎるCSRだが、ある程度の経済的支援がないと参加者の負担だけでは成り立たない。今年は12期を迎えるが、これから先のことを考えると運営には自信がない。無償で協力してくれるサポーターの存在あればこそである。続けたいが…。
地域が支える過疎活性化の活動は様々であるが、行政も周辺の地域も極めて冷淡である。「地方創生」で変化があるのか。