平成29年6月5日(№7355) やんちゃ坊主の反乱
投稿日:2017.06.05
やんちゃ坊主の反乱
パリ協定は米中協調の象徴だった。オバマ前大統領が中国の習近平国家主席と共同で参加を呼びかけ、世界的な気運を盛り上げたからだ。米がその役割を自ら捨て、排出量首位の中国が国際社会を主導するかのように振る舞う隙を与えた。トランプ大統領が「雇用を守る」という石炭業界は少数派だ。米産業界から見れば、米国が世界とは異質の市場になる。
「パリ協定は不公平。他国が米国を経済的に利用する仕組みだ」というが、国際社会に語り掛ける言葉はなかった。オバマ前大統領は「現政権は未来を拒絶する少数の国に加わった」と非難したが、今回のトランプ声明は世界の200近い賛同者の国と地域にどれだけの影響を与えることか。目標達成に汗をかく機運が萎む恐れはある。それにしもトランプは野暮だ。
トランプは声明で「再交渉」も提案したが、これに対しドイツのメルケル首相や仏伊の3首脳は即座に共同声明で「再交渉できない」と拒んだ。日本はどうするべきか。一部マスコミなどは複雑なパリ協定の事情を呑み込んで、トランプ氏へのパリ協定復活を働きかけよというが、折角できた枠組みが一層有効に活用されるよう、環境先進国としての存在感を…。
米国のパリ協定離脱は世界にどんな影響を与えるか。①歴史的な間違いと世界は指摘する。②米国の難局は中国に絶好の機会。③世界的企業のトップたちは落胆。④米国の石炭復活の可能性は低い。⑤米国が離脱しても米国の排出量は減少する。米国の石炭産業で働く人らは、太陽光発電業界の半分に過ぎない。米国は世界の進路を阻むやんちゃ坊主になった。